第275回相続コラム 相続人申告登記とその必要書類

相続コラム

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第275回相続コラム 相続人申告登記とその必要書類

第275回相続コラム 相続人申告登記とその必要書類

2024年4月1日より、相続登記が義務化されました。相続登記の義務化により、相続等によって不動産を取得した者が一定期間内に相続登記の申請を行わないと、罰則が適用されるおそれがあります。

しかし、「遺産分割協議が難航している」、「相続人の数が多い」場合等、期間内に相続登記の申請をすることが困難なケースもあります。今回のコラムでは、法律で定められた期間内に相続登記を申請することが難しい場合に活用できる相続人申告登記とは何か解説するとともに、相続人申告登記を申し出る際の必要書類について解説したいと思います。

 

相続人申告登記とは

相続人申告登記とは、期限内に相続登記の申請が難しい場合に、暫定的に登記申請義務を果たしたと扱ってもらうためにする手続きです。期間内に相続登記の申請を行っていなくても、相続人申告登記の申出を行えば、罰則の適用を回避することができます。

相続人申告登記の制度は、相続登記が義務化された2024年4月1日に施行された制度で、相続登記の申請が間に合わない方や、その前提となる相続人調査や遺産分割協議等が難航している方のための、いわば救済措置となる制度です。

 

相続人申告登記の申出

相続人申告登記では「相続人である旨の申出」をするのですが、具体的には「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」と「自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨」を法務局に申し出ることになります。

相続人申告登記の申出により、相続した不動産の登記簿に申出をした相続人の氏名・住所が公示されることになりますが、相続登記のように相続分などの権利について登記されるわけではありません。相続人申告登記は、あくまで相続登記が申請されるまでの、暫定的な罰則回避手段ですので、権利関係は登記されませんし、後に遺産分割協議がまとまった際には、あらためて相続登記を申請する必要があります。

 

相続人申告登記の必要書類

相続人申告登記の申出を行う際には、下記の書類が必要となります。

■相続人申告登記の申出書
■被相続人が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本
■申出をする人が相続人であることがわかる戸籍謄本等
■申出をする相続人の住民票

以下、各書類について解説します。

 

相続人申告登記の申出書

相続人申告登記を申し出る際には、申出書を提出する必要があります。申出書はご自身で作成する必要がありますが、記載例が法務省ホームページにありますので、そちらを参考に必要事項を記入し、作成します。

法務省ホームページ
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html

 

被相続人が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本

相続人申告登記では、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」を申し出るため、所有権の登記名義人である被相続人が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本を提出する必要があります。具体的には、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本を提出します。

なお、被相続人が亡くなっても戸籍内にまだ人が残っている場合には戸籍謄本を、被相続人が亡くなったことにより戸籍内の全員が戸籍から抜けた状態の場合には除籍謄本を提出します。

 

申出をする人が相続人であることがわかる戸籍謄本等

相続人申告登記では、「自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨」を申し出るため、申出をする人が相続人であることがわかる戸籍謄本等を提出する必要があります。

申出をする相続人が被相続人の子であれば、自身の戸籍謄本があれば相続人であることを証明することができますが、申出をする相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合には、被相続人に子がいないことや、両親などの直系尊属が亡くなっていることも証明しなければならないため、自身の戸籍謄本だけでなく、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を遡って取得し、提出する必要があります。

 

申出をする相続人の住民票

相続人申告登記では、申出をした相続人の住所が公示されますので、その住所を証明するための書類として、申出をする相続人の住民票の提出が必要となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、法律で定められた期間内に相続登記を申請することが難しい場合に活用できる相続人申告登記とは何か解説するとともに、相続人申告登記を申し出る際の必要書類について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

相続人申告登記は、比較的簡易な手続きで、相続登記の申請をすべき義務を果たしたと認めてもらえる制度になりますが、あくまで暫定的に罰則の適用を回避するための制度ですので、相続登記を申請することが可能となった段階で、しっかりと相続登記の申請を行うことが重要となります。

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