第277回相続コラム 相続登記を自分で申請できるのか?自分で申請することが難しいケースも解説

相続コラム

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第277回相続コラム 相続登記を自分で申請できるのか?自分で申請することが難しいケースも解説

第277回相続コラム 相続登記を自分で申請できるのか?自分で申請することが難しいケースも解説

2024年4月1日より相続登記が義務化されましたので、相続や遺言によって不動産を取得した場合には、相続登記を申請しなければなりません。今回のコラムでは、相続登記を自分で申請できるのか、また、自分で申請することが難しいケースについても解説したいと思います。

 

相続登記は自分でできるのか

登記の申請には、法律的・専門的知識が必要となるため、登記の専門家である司法書士に申請を依頼するのが一般的ですが、不動産を相続した相続人等が自ら登記を申請することも法律上は特に問題はありません。

 

・不動産を取得した相続人等が自分で登記を申請しても、法律上、問題はない
・登記の申請には、法律的・専門的知識が必要となるため、専門家に依頼するケースが多い

 

自分で登記を申請するのが難しいケース

相続登記を自分で申請しても、法律上問題ないとしても、実際に申請を行うのは容易ではありません。いざ、自分で手続きを進めてみたが、途中で挫折してしまったというケースも少なくありません。特に、以下のようなケースでは、自分で進めるのが難しくなります。

■相続関係が複雑なケース
■兄弟姉妹が相続人となるケース
■相続登記がなされていない不動産を相続するケース
■遠方の不動産を相続するケース

以下、各ケースがなぜ自分で申請するのが難しいのか解説していきます。

 

相続関係が複雑なケース

被相続人が離婚・再婚を繰り返して相続人に異母兄弟がいる場合、被相続人に認知した婚外子がいる場合、被相続人が養子縁組や離縁をしている場合、相続人について代襲相続が発生している場合など、相続関係が複雑になっているケースでは、法定相続人を特定したり、相続分の計算などに法律的・専門的知識が必要となります。法定相続人の特定を誤ると、手続きが無効になり、全て手続きをやり直しということにもなりかねません。

 

兄弟姉妹が相続人となるケース

相続登記を申請する際には、誰が相続人であるかを証明するために、被相続人の戸籍謄本等を提出する必要がありますが、兄弟姉妹が相続人となるケースでは、集めるべき戸籍謄本等が膨大な数となります。兄弟姉妹が相続人であるということと、その兄弟姉妹を漏れなく特定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を遡って取得するだけではなく、被相続人の両親の戸籍も遡って全て取得する必要があるからです。

 

相続登記がなされていない不動産を相続するケース

2024年4月1日から相続登記が義務化されましたが、それ以前は、登記を申請するか否かは任意であったため、相続登記がなされていない不動産も少なくありません。仮に、相続登記がなされていない不動産を相続する場合には、複数の相続登記を申請しなければならないため、申請手続きが複雑になってしまいます。

例えば、父が亡くなり、その子が父から相続した不動産について相続登記を申請しようとしたが、不動産の名義が何十年も前に他界した祖父名義となっているというケースでは、祖父に関する相続関係についての書類を収集し、祖父から父への相続登記を行い、そして、父から子(自分)への相続登記を申請しなければなりません。

 

遠方の不動産を相続するケース

相続登記の申請は、不動産の所在地を管轄する法務局に申請しなければなりません。そのため、例えば、東京で暮らしている相続人が札幌にある実家を相続した場合には、東京の法務局ではなく、札幌の法務局に申請する必要があり、更に、沖縄の別荘も相続したという場合には、沖縄の法務局にも申請する必要があります。

なお、登記申請はオンラインで行うことも可能なのですが、登記申請のためだけに電子証明書等を一般の方が準備するというのは現実的ではないため、事実上、申請の手段は、実際に法務局に赴くか郵送ということになります。一般の方が、一回で完璧な申請書を作成し、必要書類も全て揃えるというのは難しいため、何度も遠方の法務局とやり取りすることになり、時間・労力の負担が大きくなります。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続登記を自分で申請できるのか、また、自分で申請することが難しいケースについても解説しましたが、いかがだったでしょうか。いざ、自分で手続きを進めてみたが、途中で挫折してしまったというケースも少なくないため、事前にどのような場合に手続きの難易度が上がるか知っておくと、自分で申請するか否かの判断に役立つかと思います。

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